CAN232J CAN通信モニタ  v1.3


1.プログラムの概要
2.動作設定
3.操作コマンド

4.データ送信
5.オプションモード
6.ログデータの保存


クイックスタート

1.配線等を確認後プログラム起動、通信ポート、RS232速度を設定、確認
   (CANUSBの場合は、RS232速度設定は必要ありません.)
 2.「COM Open」を押してシリアルポートをオープン →"シリアル通信OK"を確認
 3.CAN速度を設定、確認、「Auto」「Stamp」の設定、確認、(デフォルトはON)
 4.「CAN Open」を押してCAN Busへ接続 →データ読みだし開始(Auto時)
   データは t 又はTの後に、ID、バイト数、データ、タイムスタンプ(ms)の順で表示
 5.ログデータの表示停止は「CAN Open/Close」を押す
 6.本体のERRが点滅、点灯時は「FLAG」を押す →エラー状態表示とランプ消灯
 7.必要に応じて、データ送信、オプションの「Filter Mask」「Test Mode」を使用
 8.「保存(V)」を押して、ログデータを名前を付けて保存

この説明書は対象をCAN232として記述されていますが、CANUSBでも基本的に同じです。
CANUSBの場合は、CAN232をCANUSBと読み替えてご使用下さい。



1. CAN232J  CAN通信モニターの概要


 CAN232JはCAN to RS232 GatewayであるCAN232を使用したローコストのCAN通信モニターです。
バージョン1.3ではグラフ表示など高度の機能は含まれておりませんが、CAN Busを流れる最高1Mbpsまでのデータをモニターし、見やすいテキスト形式で画面に表示すると共にログデータとしてハードディスクなどに保存することが出来ます。また、PCからCAN Busへ任意のデータを送信することが出来ます。

[ CAN速度 ]
 10K, 20K, 50K, 100K, 125K, 250K, 500K, 800K, 1Mbps, BTR0/BTR1による任意設定

[ RS232 COMポート ]
 COM1, COM2, COM3, COM4, COM5, COM6, COM7, COM8 ,COM9

[ RS232速度 ]
 9600, 19200, 38400, 57600, 115200, 230400bps

[ CANデータフレーム ]
 CAN 2.0B対応、11bit IDスタンダードフレーム、29bit IDエクステンデッドフレーム

[ ログデータ表示 ]
 操作コマンドとログデータの画面への表示、最大1024行(全データは保存ファイルへ)

[ CANデータ送信 ]
 11bit ID, 29bit ID 任意データのCANバスへの出力
 単発出力、最小間隔10msの連続、回数限定出力(1〜998)

[ ソフトウェア IDフィルタ ]
 任意の11bit IDまたは29bit IDをマスクデータとして指定
 指定されたIDと同じIDを持つデータだけが選択され画面表示、保存される

[ テスト用疑似データ出力 ]
 動作確認、CAN Busラインの信頼性確認、トレーニング用データ出力などに使用
 29bit IDフレーム、8Byteデータ0x00000001からインクリメントして最小間隔10msで連続出力

[ ログデータ保存 ]
 IDフィルタを設定していればフィルタ後のログデータがファイルへ保存され、任意の名前を
 付けて保存可能

 



2. 動作設定



 CAN通信モニターCAN232Jを最初に起動したときは、まずPCとCAN232との通信であるRS232CのCOMポート、RS232C通信速度、モニターするCAN BusのCAN通信速度などを設定する必要があります。これらの設定はプログラム終了時にファイルへ記憶され次回起動時は自動的に設定されます。同じ動作環境であれば、次回からは確認するだけになります。

2.1 COMポート、RS232速度の設定

 画面上部のメニュー「通信ポート(P)」]の中から、この通信に使用するCOMポートを指定してください。指定されたCOMポートにマークが着きます。
COMポートが違っていると、「COM Open」を押したときに”シリアル通信エラー”と表示されます。
 

 RS232C通信速度についても、メニュー「RS232速度(R)」を押して、通信速度を指定してください。
この速度はパソコンで使用する速度ですが、CAN232側で設定されている速度と合わないと互いに通信できません。CAN232は納入された状態で57600bpsになっています。最初必ずこの速度を指定して一旦通信を確立してから希望する速度に変更してください。
CANUSBではこの設定は無意味です。

一度正常にオープンした後は、新しい速度を指定すると直ぐにその速度への変更コマンドがCAN232へ送信され、CAN232で変更を受け付けた場合、その速度はCAN232内部へ記憶されます。
パソコンとCAN232のCOMポートが正常にオープンしたかどうかは、「COM Open」ボタンを押したときに
スピードボタン右に「シリアル通信OK!」などと結果が表示されますので、ポートなどを変更しながらOKが出るまで繰り返しトライしてください。

・COMポート番号、RS232通信速度はこのプログラムを終了するときに選択データがファイルへ記憶されます。
次にソフトを起動したときに自動的にその選択データに設定されます。


2.2 CANモニター速度の設定

 COMポートが正常にオープンできたら、モニターするCAN Busの速度を指定します。
納入時のCAN232の初期設定は125Kbpsになっていますので、対象となるCAN Busの速度を選択してください。CAN速度を選択すると、確認のダイアログが表示され「OK」すると選択データにマークがつきます。しかし、この選択は直ぐに有効にはならず、「CAN Open」時にCAN232へコマンドとして送信され有効になります。 この選択にない速度の設定は「設定」をクリックしてください。BTR0とBTR1を設定する任意速度設定ウィンドウが開きます。

「CAN Open」時に正常に受信されると、このデータはCAN232へ記憶されます。
・CAN速度はこのプログラムを終了するときに選択データがファイルへ記憶されます。次にソフトを起動したときに自動的にその選択データに設定されます。
 

CAN速度を任意に設定するには、BTR0とBTR1を設定してCAN232へコマンドとして送ります。
BTR0, BTR1の設定方法に関してはCAN232のマニュアル及び、CANコントローラSJA1000のマニュアルを参照してください。
BTR0, BTR1を16進コードで設定し、「速度計算」ボタンを押すと、設定速度が確認できます。

CAN速度が計算されると、「OKボタン」が使用できるようになります。任意速度を設定するときは、必ず速度計算ボタンによって速度を確認した後でOKボタンを押します。途中でキャンセルするとこの設定は無効になります。


 

3. 操作コマンド


 CAN通信モニターCAN232Jの操作は、メニューからの選択かスピードボタンで行います。操作する状況に応じて、使用できないメニュー及びスピードボタンは操作できないようになっています。

3.1 COMオープン
 
プログラムを起動した直後の操作コマンドは、RS232関係の設定と「COM Open」のみが操作可能になっています。COM Openによって「シリアル通信エラー」と表示された場合は、パソコンのCOMポートの選択が違っているか、CAN232に記憶されている速度と異なったRS232速度を指定した場合、ケーブルが正常に接続されていない場合などが考えられます。もう一度変更、確認の上「シリアル通信OK!」が表示されるまで繰り返してください。
一度「シリアル通信OK!」になって正常にオープンしたCOMポートとRS232速度の組み合わせは、このプログラムを終了するときに自動的にファイルへ記憶され、次回プログラム起動時にその値に再設定されますので、次回からは直ぐに正常にオープンするようになります。
RS232速度の最大速度230400bpsは従来のDOS/V互換パソコンでは、そのままでは使用できません。この速度を選択すると確認のダイアログが表示されます。US232等の変換ケーブルなどを使用している場合のみ使用可能です。切り替えを指令してしまい、CAN232に受け付けられ記憶されると、次からはこの速度で通信しないとコマンドそのものがCAN232に受信されなくなってしまいますので、十分注意してください。
COMが正常にオープンするとそれに続くコマンドが使用できるようになります。



3.2 CANオープン




 

 CANオープンコマンドはシリアル通信が正常にオープンした後に使用できます。初めてCAN232/CANUSBとこのモニタプログラムを使用する場合は、一度CAN速度の選択操作を実施して、モニタしたい速度に再設定してください。
プログラム納入時にデフォルトとして「Auto」モードになっているので、CANオープンによって、直ぐにCANバスからデータを読み出して PCへ読み込みます。この状態ではまだデータログは開始されておりません。「ログ開始」を押してデータログ、画面表示が開始されます。また、StampモードもONになっていますのでデータにはCAN信号受信時の時刻が相対時刻 [ms] で表示されます。
「CAN Open」ボタンは正常にCANオープンすると「CAN Close」に変更されます。CANをクローズする場合は、このボタンを押してください。windowsの負担を軽くするため、「CAN Open」毎に表示画面はクリヤーされますが、ログされたデータは記憶されておりますので、保存ボタンによって保存できます。

「ログ開始」後、受信データは画面に表示されますが、自動スクロールはされません。また、データの受信速度に対する応答を優先するため、ある程度画面に読み込むと表示画面にはそれ以上読み込まなくなります。しかし、内部ではデータを記録しています。このデータは後で、「保存」ボタンで保存できます。
また、画面読み込みが中止された後でも、ログモード中であれば、「表示消去」ボタンを押すことで、それまでの表示を消去し、その時点からのデータを画面表示をすることが出来ます。




 

3.3 操作コマンド


 COM Open, CAN Openを含めて操作コマンドはメニュー、スピードボタンのいずれからでも操作できます。

Version/「VERS」はCOMオープン後はいつでも使用でき、CAN232内部ファームウェアのバージョンを画面に表示します。

  Status Flag/「FLAG」はCANオープン後に使用でき、CAN232のエラーステータスを表示します。CAN232は内部FIFOメモリがオーバーフローしたりした場合、LED ERRを点滅、点灯しますが、その場合このボタンを押すと、そのエラー内容を表示し、LEDは消灯します。表示内容についてはCAN232のマニュアルを参照してください。

「Auto」をオフにすると、CAN232内部FIFOメモリからのデータ読み出しが中断されます。CAN Busに連続してデータが流れている場合に、オフにすると、まもなく内部FIFOがオーバーフローしてCAN232についているLED ERRが点滅します。この状態では「FLAG」を押してLEDを消灯しても間もなくまたオーバーフローして点滅することになります。 通常は「Auto」オンでお使い下さい。
 



4
. データ送信


 CAN通信モニターCAN232Jは、パソコン画面からCAN Busに対して、任意のデータを送信することが出来るようになっています。

4.1 CANデータの単発送信


 CAN Busにデータを送る場合は、最初にStandard(11bit)フレームか、Extended(29bit)フレームかを選択し、ID、DLC、DLCで設定した長さのDataを、16進 データで記入してください。データを単発で送る場合は、データ記入欄の右の「送信(T)」ボタンを押してください。「送信(T)」ボタンを押したとき、データの記入に不正があると、エラーを示すダイアログが表示されますので、正しいデータを記入してやり直します。


4.2 CANデータの連続送信
 接続されているCAN Busに対して任意のデータを、設定した間隔で設定した回数、または連続して送信することが出来ます。 単発データ送信と同じように送信データを記入して、連続送信欄の送信間隔をms単位で入力、送信回数を設定した後、「開始(K)」ボタンを押すと指定の間隔で指定の送信回数、データをCAN Busへ送信します。
送信間隔は最小10ms以上に設定して下さい。10ms以下の数値を記入しても10msに変更されます。この送信間隔はWindowsによって精度が異なります。また、50ms以下では不正確ですので目安程度にお考え下さい。
送信回数は999に設定すると連続送信になります。その場合は「開始(K)」ボタンをもう一度押して停止するまで送信を続けます。「開始(K)」ボタンは一度押すと、「停止(K)」と表示されます。もう一度押したときに「開始(K)」に戻ります。

●CAN232、CAN Busなどの応答、データ転送能力などをテストしたり、2台のパソコンなどを使用してCAN Busのトレーニングをしたりするときに使用する、所定のデータを連続送信するモードは、次ページの「5.オプションモード」を参照下さい。



5. オプションモード


 CAN通信モニターCAN232Jは、以下に説明するように「Acceptance」、「Filter mask」、「Test mode」の3種類のオプションモードを使用することが出来ます。

 オプションモードはメニュー「オプション(O)」の中から選択します。他の条件によって使用できる項目だけが選択可能になっています。


5.1 Acceptance モード




 「Acceptance」はCAN232内部のCANコントロールICに対して、アクセプタンスレジスタ、アクセプタンスマスクの変更を指示します。
これらのデータは、CANコントロールICがリセットモードにあるときにのみ有効です。詳細はPHILIPS SJA1000 のデータシートを参照して下さい。

 注)デフォルトで全データが通過するように設定(Code:00000000, Mask:FFFFFFFF)されています。
  CAN Closeのときに変更しておくと、CAN Openしたときに有効になります。


 

5.2 Filter mask

 「Filter Mask」はCAN受信データの中から、特定のIDを持つデータのみを選択して、画面表示、ファイルに保存します。メニュー「オプション(O)」を押して表示される、上記右の ダイアログでMASK ID データを入力して「OK」ボタンを押すと、そのマスクデータが下図のように画面に表示されます。Mask IDが設定されると、CAN232のFIFOから読み出したデータからこのMask IDに一致するIDだけが選択されて画面表示、保存の対象になります。特定のセンサーなどからCAN Busに出力されるデータをモニターする場合などに使用します。

 一度設定されたMask IDをクリヤーするには、再度「Filter Mask」設定ダイアログでデータを全てデリートしてから「OK」ボタンを押して下さい。メイン画面の「Mask ID」部分が空欄になります。


5.3 Test Mode




 CAN232とCAN232J通信モニターを使用して、モニターされるCANラインのノイズの影響、信頼状況を確認したり、CAN Busを使用した教育、トレーニングなどに使用する目的でTest Modeを使用することが出来ます。

 Test Modeを使用するためには、メニュー「オプション(O)」の「Test Mode」を選択します。Test Modeになると、画面の連続送信欄の上に赤字でテストモードになったことが表示されます。テストモードの解除は再度メニュー「オプション(O)」の「Test Mode」を選択します。これで画面の連続送信欄の上のテストモード表示が消えます。
 テストモードになった後で、連続送信を実施すると実際に送信される送信データは、送信データとして入力されたデータとは関係なしに、特定の29bit IDを持った00000000hからインクリメントされる連続した数値が連続送信の送信間隔、送信回数で、CAN Busに送信されます。CAN Busの任意の位置にもう一台のPCを接続してこのデータを受信して、このデータを観察すれば、途中でのデータ抜けの回数などからCAN信号の接続、通信の信頼性などを確認することが出来ます。
 





6. ログデータの保存


6.1 ログデータ保存
 CAN通信モニターCAN232JではCAN Busからモニターしたデータは、自動的にメモリーに蓄積されています。このデータはもう一度CAN232Jを起動するとクリヤーされます。通常はモニター中あるいはプログラムを終了する前に別名で保存して下さい。

 

 ログデータを保存するには画面右上の「保存」ボタンを押して下さい。上記のようなダイアログが表示されます。保存するためのファイル名を記入して「保存」ボタンを押すとCAN232Jと同じフォルダに上記のファイル名で保存されます。
もし、同じフォルダに同じ名前のファイルがある場合は、下記のようなダイアログが表示されます。上書きして良い場合は「OK」を別名で保存する場合は「いいえ」を押してやり直して下さい。



Filter Maskを設定している場合は、このログファイル保存を実施するとマスクされているデータだけのファイルが出来ます。しかし、LogTemp.txtとしてはマスクされる前の全てのデータが保存されています。必要であれば、LogTemp.txtをRenameして保存することが出来ます。



6.2 バージョン情報
 メニュー「ヘルプ(H)」、「バージョン情報」を押すと現在使用中のソフトウェアのバージョン番号が表示されます。